
Microsoft Ignite 2025で発表されたSales Development Agent。
公開情報をもとに、現時点で分かっている情報をまとめます。
Sales Development Agentとは何か
Ignite 2025で発表された、営業エージェントです。
完全自律型の営業エージェントで、営業時間外も含めて見込み客のリサーチやリードの選別・アプローチを自動で行います。
主な機能・特徴
・収益とパイプラインの拡大
見込み客を自動かつ継続的に調査し、1人1人にパーソナライズされたメールを作成、自動送信します。
また、案件状況の確認など返事の催促などといったフォローアップも自動化されます。
いかなるリード(=潜在的な顧客)も取りこぼさないよう、徹底されます。
・既存ツールとの連携
Microsoft Dynamics 365やSalesforceなどのCRMと接続し、顧客データや営業活動ログを活用できます。
また、Microsoft OutlookやTeamsなど、ユーザーが日常利用するMicrosoft 365アプリの中で直接動作します。
・人間(セールスパーソン)とのコラボレーション
エージェントは完全に自律的に動作しますが、必要に応じて、有望なリードを人間(セールスパーソン)に引き継げます。
・セキュリティとガバナンス
Microsoftの信頼性の高いセキュリティおよびコンプライアンス基板上に構築されており、ポリシーやアクセス制御に従ってデータやワークフローが保護されます。
安全かつガバナンスの効いた運用が可能です。
旧来の営業プロセスと比較した際のメリット
・24時間対応と機会損失の削減
人間では手が回らなかった営業時間外にも、エージェントが継続的に対応できます。
・スケーラブルな営業組織
従来では、増え続ける膨大なリードに対応するためには、セールスパーソンを増やすしかありませんでした。
AIエージェントは必要に応じて複数展開できるため、数多くのリードにも対応できるスケーラブルな営業組織を構築できます。
・セールスパーソンの高付加価値化
営業としてのコア業務に集中できるため、営業チーム全体の生産性が向上します。
・エンゲージメントの向上
人間だと不十分になりがちな個別最適化されたメッセージ送信や、どうしても取りこぼしがちなフォローアップを自動的に実行します。
結果としてきめ細やかなアプローチが実現し、リードのエンゲージメントが向上します。
導入による効果
Microsoft社内でエージェントを先行利用したところ、internal sales teams(Microsoftにおけるインサイドセールス、内勤営業)におけるリードから商談への転換率は、15.1%上昇したようです。
また、中小企業&チャネル(SME&C)を担当する営業担当者あたりの収益は9.4%上昇したようです。
HOW TO START(始め方)
Sales Development Agentは2025年12月より、Microsoftの早期アクセスプログラムであるFrontierプログラムを通してプレビュー提供が開始されます。
一般提供(GA)の時期は現時点で未定で、価格体系も公式にはまだ発表されていないようです。
始め方はとてもシンプルです。
ITに詳しくないセールスパーソンでも、カンタンに始められそうです。
①エージェントストアより、エージェントを追加する
②エージェントに名前を付ける
③「Onboard Agent」をクリックする
③自社のマニュアル・ガイドライン・企業情報を与える
└Igniteの動画では、URL・Wordファイル・PPTファイルをチャットで送っていました
所感:ロールによっては大変助かりそう
ここからは所感ですが、ロール(役割)によっては大変助かりそうだと感じました。
特に、日々膨大なリードに相対するインサイドセールスや、多くの担当顧客を抱えるSMB(Small and Medium Business)営業には有効だと考えます。
事実、Microsoft社内で成果を出したのも、前に述べた通り、インサイドセールスやSMB営業チームということでした。
カギとなりそうなのが、リードへのフォローの質でしょう。
不自然な日本語が含まれるメールが送られると、かえって逆効果になると感じます。
OutlookでのCopilotを日々使ってメールを作っていますが、率直に申して、生成される英語の文章と日本語の文章の質は違うと感じます。
英語だと殆ど手直しなしにカンペキに近いメールが生成されますが、日本語はあくまで下書きレベルで、人間による手直しが必要なケースが多いです。
「英語だと良いけど、日本語だとなぁ…」
こうはならず、日本における営業活動の変革が実現されることを切に願っております。